先日、ある企業の採用ページを眺めていたら、
要件に「テキストコミュニケーションができる人」とあって、思わずうなずきました。
仕事中のチャットでも、たまに
「この人、読んでない…?」
「いや、こっちの書き方が曖昧か…?」
みたいなすれ違いが起きますよね。
結局ズレたまま電話で口頭補足、という流れ。
世の中的に“オフィス回帰”が進むのも、
「サボり対策」というより単に
“文字だけで意思疎通できない”コストを嫌った結果なんだろうな、と。
テキストは便利ですが、同時に残酷です。
書き手の思考の穴、前提のズレ、論理の飛躍が、そのまま化石のように残る。
読み手の集中や解釈にもムラがある。
つまり「100%伝える/100%汲み取る」は原理的に難易度が高い。
だからこそ、文章力は個人スキルではなく“組織の生産性インフラ”になるわけです。
誤読はそのまま、機会損失とコストに変換されます。
テキスト前提の働き方で成果を出すために、次の3つだけ徹底しましょう。
1)「3レイヤー・フレーム」で書く
最初に結論1行→次にWhy(背景・判断基準)→最後にNext(誰が・何を・いつまで)。
例)
Why:コスト▲12%、納期短縮3日、既存資産が流用可。
Next:田中さんが15時までに発注、私は稟議提出。添付に比較表。
——この順序だけで、誤読率が一気に下がります。
2)件名タグと依頼フォーマットを固定化
件名は[要判断][要対応][FYI]の3種に絞る。
本文は「目的→依頼→締切→判断材料(数値・リンク)」の順。
主語は人名で、時制は未来完了形(〜までに完了)。
一文一義・箇条書き・数字は桁区切り。
これを全社で“儀式化”すると、読み手の脳負荷が下がり、返信速度が上がります。
マーケの現場なら、LPレビューや配信承認の往復が半減します。
3)エコー・チェック(要約返信)を標準装備
重要な依頼や決定は、受け手が「理解した内容を3行で要約→差分があれば即修正」。
会議は“差分確認の場”に限定できます。
(おまけ:非同期の原則)
「まず文字で合意→必要なら音声や同期」という順番を守ると、決定プロセスがログ化され、再現性が生まれます。
テキストは単なる連絡手段ではなく、“意思決定の設計図”です。
オフィスに戻るか、戻らないかは手段。
大事なのは「誤読を前提に、誤読されにくい設計をしているか」。
あなたの直近のメッセージ3つ、結論→Why→Nextになっていますか?
件名で“脳内優先度”を指定できていますか?
そして、要約で合意を取っていますか?
さあ、最初の一本から“化石にしても恥ずかしくない文章”でいきましょう。