ワシントンD.C.の地下鉄の構内で、あるヴァイオリニストが演奏していました。
彼は、グラミー賞を受賞したこともある世界的な奏者です。手にしていたのは1713年製のストラディバリウス。時価にして3億円を超える名器でした。
朝のラッシュ時、約45分間、バッハの難曲を演奏し続けました。
その数日前、彼のコンサートは満員でした。しかも、チケットは決して安くはありません。
同じ人が、同じ楽器で、同じ腕前で演奏しているのに、「地下鉄の片隅」というだけで、ほとんど誰にも気づいてもらえなかったのです。
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「先生ポジション」を取れていますか
実はこれ、私たちのビジネスにも、そのまま当てはまる話です。
「先生ポジション」を取れているかどうか。これで、相手の聞く姿勢がまったく変わります。
先生ポジションというのは、そのままの意味です。「こうすべきです」「こうした方がいいですよ」と、指導する側として話す立場のこと。優れたコンサルタントほど、自然にこのポジションを取っています。
人は権威に弱いものです。
こんな実験があります。医師から「この薬を患者に投与してください」と指示された看護師のうち、明らかに危険な薬だとわかっていても、かなりの割合が指示に従ってしまったそうです。「お医者さんが言うのだから」。それだけの理由で。
あなたにも、心当たりはありませんか。肩書きや立場ひとつで、同じ内容の話でも受け取り方が変わってしまう。そんな経験、一度くらいあるはずです。
現場から入るか、上から入るか
これは私が実際に見聞きした話です。
同じ人が、同じ商品を持って行っているのに、です。
あの1ヶ月は、何だったのでしょうか
私自身にも、似たような経験があります。
現場の担当者にとても気に入っていただき、その方向けに提案をまとめ、社内的にも通ったと聞いていました。ところが、最終的な制作物のOKを出すのは、社長。つまり、本当の決裁者です。
結局、その1ヶ月、ああでもないこうでもないとやり取りが続きました。ものはとっくにできあがっているのに、です。
そして、上の方に直接お話ししたら、一瞬で終わりました。
あの1ヶ月は、いったい何だったのでしょうか。
現場を責めても、仕方がありません
なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。
現場の担当者にも、事情があります。現場は売上を上げることが至上命題ですから、「取りこぼしたくない」という気持ちがどうしても働きます。だから、こちらが「それはやめた方がいいですよ」「その見込み客は無視していいですよ」と伝えても、なかなか踏み切れません。
でも、本来それは、現場が決めることではないのです。戦略の判断は、経営者や、その現場を率いるリーダーが決めるべきこと。
現場からではなく、上から入る。
それだけで、仕事の進み方は変わります。
だとすれば、私たちマーケターやコンサルタントの役割は、まさにその戦略を一緒に決めていく立場のはずです。
今日の問いかけ
あなたは今、どちらのポジションでクライアントと向き合っていますか。
一度、自分の立ち位置を見直してみるのもいいかもしれません。