営業電話が嫌われる理由は、しつこいからでも、売り込みが強いからでもないのかもしれません。
本当に嫌なのは、「自分のことを何も見ていない相手」に時間を奪われること。
先日あった一本の電話から、営業の本質について考えさせられました。
この前、一本の着信があったんです。
ちょうど手が離せなかったので、
少ししてから折り返しました。
すると相手が出て、
「あ、XXXの田中です」
と名乗ったので、
私はすぐに
「あ、先ほどご連絡いただいた向井です」
と返そうとしたんですね。
ところが、です。
私が名乗る隙もないくらいの勢いで、
先方はそのまま話し始めたんです。
「先日はなんたらかんたらで…
新しい物件のご案内でご連絡いたしました…
向井様のお電話でよろしいでしょうか…」
もう、完全に台本です。
こちらが一言も差し込めない。
会話じゃなくて、読み上げ。
たぶん新入社員だったんだろうな、とは思います。
別に、その人個人を責めたいわけじゃないんです。
でも、正直に言うと、普通にムカつきました。
目 次
なぜか。
その会社とは、
すでに何度もやり取りをしていたからです。
こちらの状況も、
ニーズも、何を求めているかも、
過去にちゃんと伝えている。
担当者にも会っている。
こっちはそれなりに時間を使って、
自分の情報を渡しているわけです。
なのに、電話口では、
それが一ミリも共有されていない。
まるで、初めてかける相手に話すみたいなテンションで、
一方的に進めてくる。
私は思わず、苦笑いしながら聞きました。
「私の情報、見ましたか?」
すると相手は、あっさり
「いや、まだ確認できていないです」と。
それを聞いた瞬間、
なんというか、
怒りというより、呆れでした。
結局私は、
「分かりました。じゃあ確認してからまたご連絡ください」
と伝えて電話を切りました。
営業電話が嫌われる本当の理由
で、切ったあとに思ったんです。
たぶん、多くの人が営業電話を嫌う理由って、
商品が嫌いなんじゃない。
営業そのものが嫌いなんでもない。
“自分が人として扱われていない感じ” が嫌なんじゃないか、と。
ちゃんと伝えたことが、
なかったことにされる。
さっき話したことを、
また最初から説明させられる。
社内で共有されているはずの情報が、
平気で途切れている。
これ、電話営業だけじゃないですよね。
- インサイドセールスからフィールドセールスに情報が渡っていない。
- 問い合わせフォームに書いた内容を、初回商談でまた聞かれる。
- 打ち合わせのたびに、こちらが毎回ゼロから説明し直す。
受ける側からすると、
「いや、それ前にも言いましたよね」
で終わる話なんです。
けれど、やる側は
意外とその重さに気づいていない。
営業の本質は、話し方じゃない
でも、ここに営業の本質が出ると思うんです。
営業って、
上手に話すことだと思われがちです。
感じよく振る舞うことだと思われがちです。
トークスクリプトを噛まずに読むことだと
思っている会社も、案外多い。
でも、違うんですよね。
営業は、相手の時間をどう扱うかです。
相手がすでに渡してくれた情報を、
ちゃんと受け取っているか。
その前提に立って、会話を始めているか。
「あなたのことを、私は理解しようとしています」
という態度があるか。
そこが欠けた瞬間、
どれだけ言葉遣いが丁寧でも、
どれだけ大手企業でも、
一気に雑に見える。
逆に言えば、商品説明が多少つたなくても、
「ちゃんと分かってくれている」
と感じた営業には、人は心を開くんです。
信頼を失うのは、一瞬
営業で信頼を失うのは、一瞬です。
でも、その一瞬の多くは、
派手な失言じゃない。
こういう“情報を無視した雑な接触”なんですよね。
たぶん会社が大きくなるほど、
仕組みは増えます。
部署も増えます。
役割も分かれます。
すると、誰も悪気はないのに、
顧客理解だけが置いていかれることがある。
でも、顧客から見れば、
社内事情なんて関係ないです。
インサイドもフィールドも、
電話担当も訪問担当も、
全部まとめて「あなたの会社」ですから。
その意味では、営業の質って、
話し方より前に、
社内でどれだけ相手の情報を大事にしているかで決まるのかもしれません。
あなたの会社ではどうでしょうか
お客さんに、
同じ話を二度させていないですか。
聞くべきことと、
もう聞かなくていいことの区別がついていますか。
売り込む前に、
思い出したいのはそこかもしれません。
人は、話がうまい営業から買うんじゃない。
「この人は、ちゃんと分かろうとしている」
と感じた相手から買うんです。
結局、営業の第一声で問われているのは、
商品知識じゃなく、相手への敬意なんでしょうね。
PS:
営業トークの上手さって、たしかに大事なんでしょう。
でもその前に、前回の履歴くらい見てくれよ、と思います。
丁寧な口調で雑に扱われると、人はちゃんと腹が立つんですよね。
向井直輝