広告の仕事なのに、一文字に命をかけられない話

「田中様がしていただく」

この日本語、どこがおかしいか、お気づきになりますか。

正しくは、「田中様していただく」です。

「いただく」は謙譲語ですから、敬意を向ける相手には「〜に」が来るはずで、「〜が」は来てはいけません。

実は、これに近い誤用を、広告代理店が作った文章で何度も見たことがあります。


代理店の原稿で、実際に見かけた誤用

よく見かける表現

大手◯◯部門への商談獲得に

本来の表現

大手◯◯部門との商談獲得に

商談は「〜へ」向かうものではなく、「〜と」交わすものだからです。

よく見かける表現

大手セキュリティ部門/大手人事部門

本来の表現

大手企業のセキュリティ部門

間の言葉が省略されたまま、そのまま文字になっているのです。

口語と文語は違う。これは、学校でも習うレベルの話です。

広告を扱う代理店が、
一文字に命をかけられない。

これは、正直かなり厳しいことだと思っています。

読み手がどんな状況で読むかは、書き手には分かりません

なぜ、そこまで言うのか。

理由は、読み手がどんな状況でその文章を読むか、書き手には分からないからです。落ち着いて読んでくださるとは限りません。だからこそ、誤解の余地がないように、正確に伝える必要があります。

企業によっては、こうした細部を厳しく見る担当者がいます。それは、決して神経質なのではなく、正しい姿勢だと私は思います。

ちょっとした言葉の齟齬、ちょっとした助詞の誤り。それだけで取引を終わらせてしまうことは、実際にあります。

フィーをいただく資格

言葉を扱う商売である以上、そこまで気を配ってこそ、フィーをいただく資格があるのではないでしょうか。

今日の問いかけ

あなたが最近チェックした広告の文章、そこまで細部まで見られていたでしょうか。
一度、読み返してみてはいかがでしょう。

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